《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手・足の外科センター
整形外科専門医  手外科専門医
谷口 泰德副院長・センター長

 手首の小指側に痛みがでる腱鞘炎に尺側手根伸筋腱炎(しゃくそくしゅこんしんきんけんえん)があります。尺側手根伸筋腱は手首を伸ばし小指側に動かす働きをする腱です。手首を使い過ぎると、この腱に腱鞘炎が起こります。この腱鞘炎は野球やテニスなどで手を使うスポーツ選手に多くみられます。スポーツ以外では調理や物をさげる作業などをされている人にも起こります。比較的女性に多い傾向があります。

  症状は手首の小指側の腫れと痛みで、特に手首を回したり、手を伸ばしたりすると激痛が走ります。手首のレントゲン検査では特に異常はみられません。診断は診察時に痛みを誘発させるテストを行い、痛みが増強すれば陽性と判定され診断されます。鑑別すべき他の病気に手首の軟骨損傷やガングリオンがあります。

 治療はまず局所を安静にして、手首の使いすぎを控えます。湿布をしたり鎮痛剤を服用します。さらに腱鞘内に局所麻酔剤入りステロイドの注射をします。ほとんどの患者さんは、この保存的治療で治ります。これで改善しない時や再発する場合は、手首固定用の装具を装着したり、稀に手術を行うこともあります。詳しいことは手外科専門医にご相談下さい。

(ニュース和歌山/2023年5月27日更新)