今回は、丸い形に火花が広がる割物から、「菊」の一種類を紹介します。
菊は光の尾を残しながら、中心から外に向かって広がり、まるで菊の花のように見えることから名付けられました。でも、今回紹介するのは、少し違った形の花火です。
◆丁字菊(ちょうじぎく)
写真の花火は、中心の「芯」と呼ばれる部分から星(色や光を出す火薬のつぶ)が発光し、大きく広がります。この形を「丁字」と言います。数多く打ち上げられる花火大会の中でも変わった形をしてるので、存在感があります。
◆ちょっと豆知識
みなさんは花火玉の中を見たことがありますか? 下の写真は7号サイズ(直径21㌢)の「八重芯錦先紅緑(やえしんにしきさきべにみどり)」という割物の花火玉です。
空中で玉を割り、星を遠くへ飛び散らすための火薬「割薬」を中心に、緑や赤い光を放つ「芯星」が同心円状に詰まっています。名前の「八重芯」は、親星という一番外側の層以外にも2重の層がある花火を指し、「錦先」は打ち上がる際、明るい金色の火花の尾を出すものを言います。つまりこの花火は、外側から金、赤、緑と色が付く、丸い形の花火ということです。
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今回紹介したのは割物の中身ですが、火花がいろんな方向に飛び散る、仕掛けの入ったポカ物や、先週伝授した半割物は、また違う形に星が詰まっています。夜空に広がった花火を見て「中身はこんな形かな?」とイメージできたら、かなりの〝花火マニア〟ですね。
次は最終回。最後にふさわしい、大迫力の花火を紹介します。
紀州煙火社長 藪田さゆり
(第1~4土曜掲載。バックナンバーはニュース和歌山HPで見られます)
(ニュース和歌山/2023年7月15日更新)