雑賀崎漁港に4月開店した「青天の洞窟」。特産の足赤エビや新鮮魚介の海鮮丼が人気です。テラス席から漁港風景を一望できる立地に、オーナーの天野利治(としお)さん(52)、真紀さん(45)夫妻は「地元魚介を最高に美味しい状態で提供することで、素晴らしい景色の場所に人が来てもらえるようように」と願いを込めます。 (文中敬称略)
獲れたて魚介を
──地元の獲れたて魚介が評判です。
利治「水揚げされた魚のうち、ランチ分は出す直前まで水槽で泳がせます。また、旬の魚や地元の足赤エビなどは瞬間冷凍し、年間通して提供しています」
──冷凍するのですか?
利治「冷凍技術は非常に進んでおり、瞬間冷凍だと、解凍した時に繊維分が壊れないため食感が損なわれません。また、うま味が流れ出ないので、水揚げ時のような状態で食べられます。このほか、流通に乗らない魚介類なども無駄なく利用できます」
──漁港の船上販売された魚もさばきます。
利治「テラス席の一階が魚さばき場で、三枚おろしや刺身にしています。釣堀の雑賀崎シーパークで釣った魚も対応します」
真紀「先日、自分で釣ったシマアジとタイを持ってきた子どもが、刺身を食べて「魚っておいしんや」と言ってたのが印象的。釣堀前にさばき場があるので、超新鮮です」
──カレーライスにもこだわりがあります。
真紀「和歌山駅前で居酒屋柚香を経営しており、職人が丹精込めたカツオとコンブのダシをカレーに入れます。他は国産ショウガ、チョコ、油かすなど。油かすを煮込むとコクが出るんです」
旬の味楽しんで
──料理はどこで?
利治「私も妻も料理人ではありません。2人がホテルで働いていた時、母らが経営していた柚香を2002年に引き継ぐことになり、魚の勉強から始めました。まず、中央市場に2年間通い、その後、雑賀崎漁港で直接買い付けするようになったことで、漁師さんとも知り合いになりました」
──それが、店のオープンにつながりました。
利治「コロナ禍で柚香を休み、別業態を考えていた時、漁師さんから「船上販売した魚をさばいてくれないか」と依頼を受けました。地元の民家と、漁業組合所有の建物を借りられることになり、民家を『青天の洞窟』に、組合の建物を地元水産品を加工販売する『青天の霹靂(へきれき)』と、魚さばき場にしました」
──地元が協力的です。
利治「民家横の崖は美しい青石で、店内から楽しめるよう壁の一部を開け、BBQテラスも設けました。所有者が改修を手伝ってくれ、地元の人が応援してくれたお陰です」
──今後の方針は。
真紀「獲れたばかりの魚介で本日の漬け丼を出しています。ヒラメやカレイ、イシダイなどが多いですが、旬の味を楽しんでほしいです」
利治「魚のさばき場、加工品販売とこのレストランで、味を楽しみに雑賀崎へ来てもらえると嬉しい。雑賀崎から和歌浦湾、和歌山市、県へと波及し、地元が元気になるようにと考えています」
【青天の洞窟】
和歌山市雑賀崎1863-22
時間=11:00 ~ 15:00
(土日祝16:00まで)
☎073・499・1135
定休=火曜日(不定休)
(ニュース和歌山/2023年8月26日更新)