《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手外科専門医・足の外科専門医
整形外科専門医
谷口 泰德 副院長
長期間にわたり人工透析を続けていると手指がしびれる病気の手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)が起こってきます。症状は親指から薬指のしびれや痛みで、進行すると親指の付け根の筋肉がやせて親指の細かい動きができなくなります。指のしびれは透析中や夜間に増悪します。この病気は、透析で除去しにくい老廃物のアミロイドが手首に沈着し神経を圧迫することで起こります。神経が手首にある手根管というトンネルで圧迫されるため手根管症候群と呼ばれます。この病気は一般の更年期女性や糖尿病患者さんにも起こります。透析患者さんのアミロイド沈着は手指にも起こり、ばね指とよばれる腱鞘炎を合併することもあります。
特徴的な症状、神経の伝導速度検査、レントゲン検査ですぐに診断されます。治療はステロイド剤を手根管の中に直接注射します。これで一時的にしびれは治まりますが、透析患者さんでは症状が進行して手術が必要になります。手術は局所麻酔で行い神経の圧迫をとります。場合によっては沈着したアミロイドを追加切除する必要があります。手術時間は15分から30分程度です。透析患者さんで手指にしびれの症状がある方は、手外科専門医にご相談下さい。
(ニュース和歌山/2023年8月27日更新)