数年前からお通じが悪くなり、長い時では3~4日出ないことがあります。主治医の先生から、便秘を解消するために適度な運動を行うよう言われましたが、どんな運動をやってよいのかわかりません。自宅でできるトレーニングなどありますか?
《回答者》
◆リハビリテーション科
今村病院 リハビリテーション部
理学療法士
中野 圭悟先生
便秘の原因は様々ですが、病気によるものよりも、食習慣、服用する薬の増加、運動不足など、個人でコントロール可能なことがほとんどです。今回は、筋力低下が原因で生じている便秘に注目し、運動による便秘解消法を紹介します。
食べ物は食道を通じて胃に送られ、その後、小腸、大腸を移動します。主に腸は、蠕動(ぜんどう)運動という動きによって便を肛門まで運びます。腹筋が弱かったり、猫背だと蠕動運動が促されず、その結果、適度な硬さの便が形成されにくくなります。また、腹圧を十分に上げることができないため、便を排出するのが困難になってしまいます。そこで、便秘解消には腹筋の強化と不良姿勢の解消が必要になってきます。
腹筋と一口に言っても、便秘と関係性が深いのは、下腹部にある「腹横筋」という筋肉です。その腹横筋をトレーニングするのが「ドローイン」という運動で、深呼吸を利用し、息を吐くときにお腹を凹ませます。力みすぎず、リラックスして行うのが効果的です。
方法は次の通りです。①仰向けになり、股関節と膝を曲げて足裏を床につけます。②へその両側にある皮膚をつまみ、これを軽く持ち上げながら5秒〜10秒ほどかけ、腹式呼吸でゆっくりと息を吐きます。お腹をへこませることを意識してください。皮膚をつまめない場合は、お腹の上に手を置いて行います。慣れるまではお腹に力が入っているか確認しながら丁寧に行いましょう。高血圧の方は血圧が急に上がらないように注意します。
一方、普段の生活においては、イスに座る際は背筋を伸ばすよう心がけましょう。座っている時も、時々お尻の穴をしめながら腹式呼吸をすると腸に刺激を与えることができるため、より効果的です。
なお、便秘は筋力低下が原因以外のこともありますので、詳しくは近くの病院を受診し、相談してください。
(ニュース和歌山/2023年11月26日更新)