《回答者》
◆消化器外科・一般外科
福外科病院
消化器外科専門医
大腸肛門病専門医
消化器病専門医
福 昭人院長
直腸脱と脱肛は、見かけ上は似ていますが、治療法が異なります。直腸脱は、直腸が全周にわたって肛門から脱出する病気です。直腸壁全層が反転して脱出している状態を完全直腸脱、直腸壁の粘膜下層だけが出ている状態を不完全直腸脱といいます。ただし、一般的には、直腸脱といえば完全直腸脱を指します。
骨盤内の筋肉や靭帯といった直腸の支持組織が弱くなることが原因で発症するといわれますが、はっきりとは分かっていません。放置すると肛門のしまりが悪くなり、便失禁を起こしたり、脱出した腸管からの粘液や出血により、下着が頻繁に汚れたりします。
治療は、外科的治療が原則です。病状の程度や年齢などを総合的に判断し、「肛門から治療する経肛門的手術」または「腹腔鏡による手術」のいずれかを選択します。まずは大腸肛門病専門医にご相談ください。大腸肛門病専門医は日本大腸肛門病学会のホームページで検索できます。
（ニュース和歌山／2023年12月17日更新）
