《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手外科専門医・足の外科認定医
整形外科専門医
谷口 泰德 副院長

 ネコやイヌなどの動物に咬(か)まれた傷を咬傷(こうしょう)と呼びます。咬傷で一番多いのはイヌによるもので、次にネコによる咬傷が多いです。ネコやイヌに咬まれると傷が大変化膿しやすいです。それで傷口が小さくても、応急処置として水道水で傷をよく洗い流して、早く病院に行った方が良いです。出血があれば、傷口をハンカチなどで押さえて救急病院を受診して下さい。動物の歯に付着したバイ菌が、ヒトの傷口に入ると感染が起こります。ネコ咬傷では、イヌよりも高率に感染し化膿が起こるので注意が必要です。ネコ咬傷の傷口は小さいですが、ネコの歯は鋭いので深く突き刺さるために感染が起こります。イヌ咬傷では、イヌの口が大きく咬む力が強いので傷が大きくなり、皮膚が欠損したり、顔や手の筋肉、神経が損傷されることもあります。

 病院での咬傷の治療は、まず傷を生理食塩水で十分に洗浄して抗菌薬を投与します。傷の状態により傷口は縫合せず、化膿防止のためそのままにします。歯牙による傷口が小さい時は、局所麻酔をして創を切開して傷口を拡げ、洗浄処置を行うこともあります。動物に咬まれたらすみやかに整形外科専門医への受診をお勧めします。

(ニュース和歌山/2024年2月25日更新)