60歳代女性です。数年前から健康診断で「高血圧」と指摘され、主治医から適度な運動を行うように言われています。どのような運動を、どのくらい行えばよいか教えてください。


《回答者》
◆リハビリテーション科
今村病院
リハビリテーション部
理学療法士
鶴島 顕哉先生

  高血圧は運動不足や塩分過多、ストレスなどが原因となって血管に異常をきたした結果、発症するものが多数です。今回は、これらが要因の高血圧に適した運動と、日常生活での注意点について紹介します。

 一般的に最高血圧値が140㎜Hg以上、最低血圧値が90㎜Hg以上で高血圧と診断され、この状態が長期にわたって続くと心疾患や脳卒中のリスクが高まります。それを予防するには、比較的負荷が低く、長時間行える「有酸素運動」を日常生活に取り入れることが重要です。

有酸素運動を週に3〜4回実施

 有酸素運動の代表例は、ウォーキングやサイクリング、屋内でできる階段昇降などです。「1日合計30分以上の運動を週に3~4日」を目標にするとよいでしょう。

 有酸素運動は、最初から全力で行うのではなく、軽い息切れがする程度にとどめ、その状態を最低10分程度持続するのがポイントです。具体的には、運動10分+休憩3分のサイクルを3~5セット実施します。慣れてきたら、次のステップとして、1セット内の運動時間を5分ずつ増やしていき、段階的にセット数や週の中での回数日を増やしていきます。

 また、有酸素運動は、30分以上行うと効果が高いといわれていますので、できるだけ30分以上を目指しましょう。

 一方で、運動には「無酸素運動」があります。これは、負荷の高いダンベルを使った筋力トレーニングや腕立て伏せ等、力を出すときに息を止めて行う運動を指します。血圧を急激に上昇させたり、ふらつきやめまいを伴いやすいため、高血圧の人は控えた方がよいでしょう。

 ところが、無酸素運動と似た動作は、日常生活の中にもあります。重い物を床から持ち上げる動きは、無酸素運動のように息をこらえて行うため、血圧を上昇させてしまいます。極力控えることが大事ですが、どうしても行わなければいけない場合は、物を持つ前に息を大きく吸い、息を吐きながら床から持ち上げることを意識すると、血圧の急激な上昇を抑えられます。

 このように、高血圧には有酸素運動が効果的です。しかし、血圧が高すぎる場合は、運動すること自体にも危険が伴う場合があります。運動内容に関しては、主治医と相談しながら行うことをおすすめします。

(ニュース和歌山/2024年3月24日更新)