《回答者》
◆外　科
楽クリニック
藤田 定則院長

　肛門の周囲が急に腫れ、強烈な痛みを伴う病気の一つに、肛門のまわりに膿が溜まる「肛門周囲膿瘍（こうもんしゅういのうよう）」があります。牛乳やヨーグルトなどの乳製品やお酒を摂取して普段から下痢や軟便の人、温水便座を常用している人、疲労で抵抗力が弱っている人に発症率が高い傾向があります。

　初期は肛門の違和感程度ですが、次第に痛みが強くなり、時間の経過とともに急速に腫れが大きくなります。高熱を伴うこともあるので、早めの受診が肝心です。

　基本的な治療は、切開して膿を出すことです。腫れが少しであれば、薬で治る場合もあります。また、膿が出ると痛みは急激に和らぎ、２〜３割の人は良くなるようですが、完治した訳ではないので注意が必要です。

　切開しても改善せず、症状を繰り返す人は、次の段階である｢痔瘻（じろう）」になってしまいます。痔瘻は根治手術でなければ治りません。治療せず放置しておくと症状が複雑化し、治療困難となり、まれに「痔瘻がん」になることもあります。

　肛門周囲膿瘍の疑いのある人、膿の腫れを繰り返している人は、重症化する前に早めに医療機関を受診し、根本的に治療するようにしてください。

（ニュース和歌山／2024年6月22日更新）