《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手外科専門医・足の外科認定医
整形外科専門医
谷口 泰德 副院長

 手首には8つの小さな骨があります。その内の親指側にある一つが、舟のような形をしているので舟状骨(しゅうじょうこつ)と呼ばれます。スポーツやバイクなどの転倒事故で、手首を反らして手の平を強くついた時に舟状骨骨折が起こります。この舟状骨骨折が適切な治療をされずに放置されていると骨折した骨がつかず、骨折部が関節のようにグラグラ動き、手首に慢性の痛みが出ます。この状態を舟状骨偽関節(しゅうじょうこつぎかんせつ)と呼びます。舟状骨骨折では、偽関節にならないために早期に骨折を発見して適切な治療を行うことが大切です。

 レントゲン検査では骨折が見逃され捻挫と診断され、骨折の治療がされず偽関節になることがあります。それを予防するための早期診断にMRI、CT検査が必要です。舟状骨は血流が悪いため、治りにくい骨折の一つです。舟状骨骨折の治療は、ギプス固定か手術を行います。骨折部が大きくズレている時は、スクリューにより骨折部を固定する手術をします。舟状骨偽関節になると全身麻酔で骨を移植してスクリューで固定する高度な手術が必要になり、治療期間も長くなります。詳しいことは手外科専門医にご相談下さい。

(ニュース和歌山/2024年7月27日更新)