《回答者》
◆消化器外科・一般外科
福外科病院
消化器外科専門医
大腸肛門病専門医
消化器病専門医
福 昭人院長
潰瘍性大腸炎やクローン病に代表される炎症性腸疾患は、下痢など様々な症状をきたします。
潰瘍性大腸炎は10歳代後半から30歳代に多く、近年は高齢者にも認められます。原因は不明で、遺伝的な素因、環境因子などが複合的に関与し、腸粘膜の免疫系の調整を障害し、炎症を引き起こすと考えられています。さらに、喫煙、避妊薬、鎮痛剤などは、症状を増悪する可能性があります。
診断基準は、▽持続あるいは反復する血便あるいはその既往がある▽大腸内視鏡検査あるいはレントゲン検査で特異的な炎症所見があり、病理組織検査で粘膜全層に広く炎症細胞の浸潤を認める▽症状がなくても検査と病理検査で複数回炎症所見があるもの、と定義されています。したがって、大腸内視鏡検査は必須です。症状は軽症、中等度、重症に分類され、ほとんどの方は軽症に該当します。完治はしませんが、寛解(症状がない状態)できる薬剤が多数開発されています。
治療の指針が厚生労働省、大腸肛門病学会、消化器病学会などから出ています。ただ、炎症性腸疾患専門医の認定はなく、今後検討される予定です。右記学会などはホームページで検索できます。
(ニュース和歌山/2024年10月19日更新)