2月に紀の川市粉河にオープンした「うなカフェ555(ゴーゴーゴー)」。紀の川市でなぜうなぎ? なぜカフェ? 湧き上がるさまざまな疑問を、奈良から移住して店を開いたオーナーの北村理奈さん(52)に聞きました。

食で健康支える

──うなぎとカフェ、珍しい組み合わせですね。

 「〝特別な食事〟のイメージが定着しているうなぎを、もっと気軽に食べてほしいという思いと、古民家カフェをしたいという希望が合わさったのがこのお店。実際、うなぎのランチや、うなぎを使ったチャーハン、いなり寿司、パフェを入れるガラス容器に盛り付けたミニうな丼など、カジュアルなメニューもあります。お重や丼には小鉢や紀の川産の果物を添えているので喜んでいただいています」

──こだわりは?

 「酒粕を混ぜたエサを食べて育った高知直送の『天使の羽うなぎ』を、紀州備長炭で香ばしく焼き上げます。〝神様の使い〟と言われるうなぎは、身が柔らかく栄養も豊富。その恵みを余すことなくいただけるよう、タレに頭も骨も入れて炊き込み、肝は新鮮なまま肝焼で提供。環境に優しい農法で作られた米に、うちの自家菜園の山椒と、どの素材もベストを尽くしています」

──元々料理人だった?

 「いいえ、30年間理学療法士として、病院に勤めていました。リハビリは運動療法。体を動かして筋力を上げるのが目的ですが、中にはご飯をしっかり食べていない人もいます。高齢でも元気に暮らし続けるために『食の面でも健康を支えられたら』と考えた時に浮かんだのが、故郷高知のうなぎ。そこで思いきって退職し、奈良のうなぎ専門店でさばきを習って粉河の元寿司店を改装し、オープンしました」

交流の架け橋に

──なぜ粉河に?

 「前職で最後の3年間は粉河の病院勤務でした。当時は奈良から通っていたんですが、紀の川東インターを降りた後、山並みを眺めながら通勤するのがお気に入りだったんです」

──飲食業はいかがですか?

 「理学療法士は相手あっての仕事。適職でしたが、今は一人で作業に集中でき、毎日充実しています。何よりおいしいと言って、足を運んでくれる方がいるのがまたやりがいです。さらに地域に溶け込んで皆さんの健康を支えたい。杖をついて来てくれた人には杖用のキーホルダーを、お子さんにはお菓子、誕生日には準備できればケーキプレートをサービスしています。2世代、3世代でぜひ来てほしいです」

──今後は?

 「キッチンカーでイベントにどんどん参加していきたいです。また、いずれは高知にもう1店舗作りたいと考えているんです。うちが架け橋となって、和歌山の人との交流が生まれて人が行き来するような、地域間がつながっていけたらうれしいですね」

【うなカフェ555(ゴーゴーゴー)】
紀の川市粉河74-1
営業時間 11:00〜15:00      
(予約がある時のみ)17:00〜21:00
定休日 月、火曜
電話 080・5509・1555

(ニュース和歌山/2024年11月2日更新)