55歳男性です。職場の健康診断で「血糖値が高め」と指摘を受けました。糖尿病を予防するために、何をすればよいでしょうか?
《回答者》
◆リハビリテーション科
今村病院
リハビリテーション部
理学療法士
安藤 登志也先生
日本人男性の約20%、女性の約11%が「糖尿病が強く疑われる」と判定されています。
糖尿病とは、膵臓から分泌されるインスリンが十分に働かなくなることで、血液を流れるブドウ糖(血糖)を一定の値に抑えられなくなり、血液中に糖が増えてしまう病気です。長い間放置していると血管が傷つき、心臓病や腎臓病、失明をはじめ、神経障害で眼球が動かしにくくなって物が二重に見えたり、足先の感覚がマヒしたり、足が垂れて歩きづらくなったりといった、糖尿病以外の深刻な病気につながる可能性があります。
糖は、血管を通って筋肉などに運ばれ、インスリンによって細胞に取り込まれ、私たちが活動するエネルギー源となります。しかし、運動不足や食べすぎが原因でインスリンの機能が低下したり、取り込むための細胞のドアが壊れたりすると、血液中に糖があふれてしまいます。これが「血糖値が高い」状態です。高血糖になると、①喉が渇きやすい ②尿の回数が増える ③急な体重減少 ④疲れやすい、などの症状が現れます。
バランスの良い食事と適度な運動
筋力トレーニングも効果的
糖尿病予防の要は、食事と運動です。食事はバランスよく、食べすぎに注意しながら、決まった時間にゆっくりかんでいただきましょう。薄味が望ましく、甘味や油の多いメニュー、お酒は控え、野菜を積極的にとるよう心がけてください。
運動も重要です。運動をすると筋肉が使われ、糖の利用が促されるとともに、インスリンの働きが良くなります。おすすめは、ウォーキングやジョギングといった有酸素運動です。週に3~5回、30分程度行うのが目安とされています。ただ、ひざなどに痛みのある方は、関節への負担が軽減される水中ウォーキングなどが良いでしょう。
筋力トレーニングも糖尿病予防に効果的です。イスに座った状態からの「立ち上がりやスクワット」や、立って行う「かかと上げ運動」、段差を使う「踏み台昇降運動」などは、自宅でも手軽に行えます。これらは週2~3回程度が良いと思われますが、個人の身体機能に合わせて回数を調整してください。物足りない場合は、イスの高さを低くしたり、踏み台の高さを高くしたりすると、負荷が上がります。
ふだんの生活においては、外出の際はできるだけ歩く、階段を利用するなど工夫するとよいでしょう。
適切な食事や運動は、健康に生活するための基本です。それらを心がけ、糖尿病などの生活習慣病を防ぎましょう。心配な点があれば、お近くの専門医にお尋ねください。
(ニュース和歌山/2024年11月24日更新)