《回答者》
◆外　科
楽クリニック
藤田 定則院長

　そけいヘルニア（脱腸）とは、足の付け根（そけい部）が腫れてくる病気です。お腹の壁が弱くなり、そこに腸や脂肪などの臓器が入り込んで腹膜が袋状にふくらみ、違和感がでてきます。進行すると、ふくらみが手で押さえても引っ込みにくいほど大きくなり、違和感や痛みが強くなります。

　生後すぐ発症する方や、幼児期の症状が一時的に無くなったものの成人になって再度現れる方もいます。加齢によるお腹の筋力低下や力仕事、便秘など、腹圧のかかることが原因になることが多く、肥満や前立腺肥大の方は発症傾向が高いようです。長年放置すると、袋に入り込んだ腸などが癒着することがあり、こうなると治療が難しくなります。また、良性の疾患ではありますが、突然強い痛みを伴う「嵌頓（かんとん）」という命に関わる危険な状態が起こる場合もあります。

　そけいヘルニアは原則として、診断を受ければ手術が必要です。袋の中の腸などを元の場所に戻し、弱くなった壁部分を、体に無害な網状のシートで補強する手術です。以前は入院加療が一般的でしたが、現在は日帰り手術が可能となっています。脱腸かなと思ったら、早めに専門医の診察を受けることをお勧めします。

（ニュース和歌山／2024年11月24日更新）