70歳代の女性です。寒い季節に熱いお風呂入るのが大好きですが、「ヒートショックの危険がある」と聞きました。ヒートショックがどんなものか、また、どのような注意が必要か教えてください。


《回答者》
◆総合診療科・外科
貴志川リハビリテーション病院
西村 和彦院長

 朝晩の冷え込みが一段と厳しくなってきました。これからの時期、特に12月から2月にかけて注意が必要な「ヒートショック」についてご説明します。

 ヒートショックとは、急激な温度変化で血圧が大きく変動することにより、意識消失いわゆる失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こし、身体に悪影響を及ぼす状態をいいます。例えば下の図のように、入浴の際、暖かい部屋から寒い脱衣所に移動して衣服を脱ぎ、寒い浴室に入ると、身体が外気の寒さに対応しようとして血管が収縮し、急激に血圧が上がります。その後、寒いからといって急いで湯船につかると、今度はお湯の温度に対応しようとして血管が広がり、急激に血圧が下がります。この血圧の急激な変動が「ヒートショック」を引き起こします。

 最も注意すべきは冬場の浴室で、トイレや洗面所、台所、廊下なども温度差があるため、発生しやすいといわれます。

 ヒートショックを防ぐ一番の方法は、家の中の温度差を少なくすることです。室温は最低でも18℃以上保ち、トイレや廊下にマットを敷いたり、ヒーターを設置したりするなど、工夫しましょう。

 入浴時の「ヒートショック予防策」は次の通りです。

①入浴前に脱衣所や浴室を暖めておく。湯船のふたを開けておくと効果的。

②入浴前にコップ1杯の水を飲んで脱水を防ぐ。

③かけ湯をしてから湯船に入る。湯温は41℃以下、湯に浸かる時間は10分以下。ゆっくりと体を温める半身浴がおすすめ。  

④浴槽から急に立ち上がらない。

⑤食後すぐ、または飲酒、医薬品(精神安定剤や睡眠薬など)服用後の入浴は避ける。

⑥入浴前に家族に一声かけて、これから入浴することを知らせる。

 ふだん比較的しっかりされている方が要注意です。油断せずにこれらの項目を守って、冬を安全にお過ごしください。

(ニュース和歌山/2024年12月22日更新)