《回答者》
◆総合診療科・外科
貴志川リハビリテーション病院
西村 和彦院長

 認知症は現時点で、確実な治療法や予防はありません。しかし、糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病の治療により、認知症の発症リスクは約40%軽減するといわれています。また、周囲とのコミュニケーションや、社会活動への参加も予防に極めて重要です。

 日常生活の注意点は、次の通りです。①上の血圧を130㎜Hg以下にコントロールする。②適切に補聴器を使用する。③大気汚染や副流煙を避ける。④頭部外傷や頭部疾患を予防する。⑤過剰な飲酒をやめる。⑥禁煙する。⑦肥満や糖尿病を予防・治療する。⑧適度に運動する。⑨社会的孤立や抑うつ状態を改善する生活スタイルを導入する。

 認知症予防に良いとされる食事も紹介します。㋐栄養バランスのとれたメニュー。㋑肉は脂身を控え、カロリーを摂り過ぎない。㋒炭水化物・糖分・塩分を控える。一方で、大豆製品、野菜、イモ類、魚、海藻類、乳製品、卵、果物等は日ごろから食べるようにしましょう。

 予防には手遅れということはありません。1日でも早く取り組んでください。また、最近承認された治療薬もあります。ご家族や周りの方が、ご本人を見ておかしいと疑えば、早期に認知症サポート医や専門医に相談することをお勧めします。

(ニュース和歌山/2025年1月25日更新)