《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手外科専門医・足の外科認定医
整形外科専門医
谷口 泰德 副院長
家事仕事をたくさんしてから、手首の上に強い痛みが起こる腱鞘炎に腱交差症候群があります。親指を外に開く腱と手首を上に反らす腱同士が、手首より少し上で交差している所で炎症を起す腱鞘炎です。症状は強い痛み、腫れ、熱感です。ギシ、ギシという音を感じることもあります。昔は田植えを人手で行っていたので、この腱鞘炎が田植えの時期に大変多かったそうです。地方によっては、そら手(で)、そら腕(うで)と呼ばれていました。今は田植え機が普及しているため、この病気はほとんどみられなくなりました。
現在では短期間に集中して手を酷使する人に多く、バイク運転、タイプ動作、大工仕事、ピアノ演奏などが原因になります。スポーツでは手首を返す動作の多いテニス、スキーなどの選手にも起こります。30〜50代の方に多くみられます。レントゲン検査では異常はないですが、MRI検査で異常がみられます。治療は装具による手首の安静固定、局所麻酔剤入りステロイド注射で、ほとんどの方は治ります。数回注射を繰り返しても再発する場合は、手術になります。適切に手術が行われれば、この腱鞘炎は再発することはありません。詳細は手外科専門医にお尋ねください。
(ニュース和歌山/2025年1月25日更新)