70代女性です。1年ほど前から、15分以上続けて歩くことができません。病院へ行くと、「ロコモティブシンドロームの可能性が高い」とのことで、適度な運動をするよう言われましたが、何をすればよいですか。

《回答者》
◆リハビリテーション科
今村病院 リハビリテーション部
理学療法士
川口 美晴先生

 ロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)とは、「運動器の障害のために移動機能の低下をきたした状態」のことです。運動器とは、身体を動かすために関わる組織や器管のことで、骨・筋肉・関節・靭帯・腱・神経などで構成されます。

 ロコモの主な原因は▽筋力の低下▽バランス能力の低下▽骨や関節の病気の3つです。これらによって「立つ」「歩く」といった動作が困難となり、転倒のリスクが高まります。

 下の表は、ロコモの危険度を調べる「ロコチェック」です。1つでも該当すると、ロコモの可能性が高いといわれます。

 ロコモの進行を防ぐには、運動習慣が大切です。家で簡単にできるメニューを紹介します。

 【スクワット(図A)】は、下半身と体幹を鍛えます。①肩幅より少し広めに足を開いて立ち、②膝がつま先より前に出ないように注意しながら、お尻を後ろに引くようにゆっくりしゃがみます。できないときはイスに腰かけ、机に手をついて立ち座り動作を繰り返します。【カーフレイズ(図B)】は、ふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)を鍛えます。①両足で立った状態でかかとを上げ、②ゆっくりと下ろす動作を繰り返します。それぞれ最初は10セットを目標に、慣れてきたら回数を増やし、継続して行います。運動中に痛みがある場合は中止してください。

 ロコチェックで該当する項目がなくても、運動習慣がない生活は運動器の衰えを促します。年齢に関わらず身体を動かすことを心がけるなど、生活習慣を見直しましょう。また、思い当たる症状がある場合は、お近くの専門医にご相談ください。

(ニュース和歌山/2025年3月23日更新)