《回答者》
◆総合診療科・外科
貴志川リハビリテーション病院
西村 和彦院長

「免疫」とは、病原菌などから体を守るための防衛システムです。免疫力が高いと、異物から体を守り、病気にかかりにくくなります。

 近年、免疫力に腸の働きが重要だとわかってきました。腸は、食べ物を消化・吸収する場所ですが、ウイルスや病原菌などが侵入してくる危険な場所でもあります。そのため、腸の壁の内側には、体全体の免疫細胞の約70%が集中しています。さらに、小腸の壁に存在するパイエル板は、免疫細胞が集合したリンパ組織で、体に有害な異物を見極める訓練をしています。訓練された免疫細胞は腸だけでなく、血流に乗って全身に運ばれ、病原体を攻撃します。

 免疫力を高めるには、バランスの良い食生活が欠かせません。豆腐や魚・肉、卵、乳製品などで良質なタンパク質を取り、納豆、みそ、醤油、漬け物、ヨーグルトなどで善玉菌を増やし、根菜類やキノコ類などで腸内環境を整えましょう。ビタミンAやC、D、E、ポリフェノールや青魚に多く含まれるDHA、EPAなども効果的です。このほか、禁煙や適度な運動、飲酒は適量にとどめる、十分な睡眠、ストレスをためないなども極めて大切です。免疫力は、年齢とともに低下します。生活習慣の見直しから始めましょう。

(ニュース和歌山/2025年3月22日更新)