《回答者》
◆整形外科
貴志川リハビリテーション病院
手外科専門医・足の外科認定医
整形外科専門医
谷口 泰德 副院長

 ボクサー骨折の正式病名は中手骨頸部(ちゅうしゅこつけいぶ)骨折です。手の平の骨を中手骨と呼び、親指から小指まで5本あります。中手骨の先端部を骨頭、その中枢の細い所を頸部と呼び、強い外力でこの細い頸部が折れます。この骨折は中手骨の中でも小指や薬指の骨に多い傾向があります。殴る動作で発生することが多いためボクサー骨折と呼ばれます。ボクサー骨折はボクシング、ケンカ、ハンドルを握ったままの交通事故、コブシを突く転落事故などで起こります。酔っ払って壁や机を殴って骨折し、夜間に救急受診する方もおられます。

 症状は手の甲の腫れ、激しい痛み、骨折部の変形です。骨折した指のコブシがへこんで丸く見えます。痛みのため手指を動かすことが困難になります。診断はX線検査とCT検査で骨折した部位や骨の転位などを確認します。治療は骨折部の転位の程度で決まります。骨折の転位が軽度な時は、徒手整復してギプスや装具固定を行います。転位が高度な場合は、手術によって骨折部を整復し、鋼線やプレートで固定します。治療後に後遺症が残ると手指が上手く曲げられなくなり、整容的な問題がでます。治療などの詳細は手外科専門医にお尋ねください。

(ニュース和歌山/2025年4月26日更新)