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 かつて人々の暮らしを支えたまきの活用を図り、里山に親しむ「紀美野まきわりクラブ」が紀美野町内でワークショップを開いている。木の伐採や遊歩道づくりを体験でき、里山の整備で出た間伐材を参加者自らがまきにして持ち帰れるのが魅力だ。町内外から参加者が集まっており、まきわりクラブ部長の梶本敏秀さん(65)は「紀美野町の豊かな山をまちの資源として生かしたい。山仕事で汗をかくと気分がすっきりしますよ」と呼びかけている。

 町内の75%を山林が占める紀美野町。泉南市からIターンで同町に移り住んだ梶本さんは同町民泊協議会の会長に就き、3年前から森林の良さにふれる体験会を開いていた。この中で、「もっと山の魅力を発信したい」とまきを前面に打ち出した活動を思い立ち、新たに「まきわりクラブ」を昨年結成。紀の国森づくり基金の助成を得て、活動に乗り出した。

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 「森と遊び、学ぶ」がモットー。月1〜2回、町内の山に入り、不要な立木の伐採、キノコ栽培、また野鳥の巣箱づくりと山にふれる取り組みを行う。これらに合わせ、必ずまきをわる。里山の整備で出た間伐材をチェーンソーや、専用の機械でまきにし、参加者は持ち帰れる。梶本さんは「実は都市部にもまきストーブを使っている人が結構いるんですが、まきの確保に困っています。これを紀美野の山の資源としてアピールし、森の保全につなげたい」と語る。

 2015年12月6日には、小学生から60代まで約20人が集まった。この日は里山観察用の遊歩道づくりをスタート。山の斜面をスコップでならし、自分たちでつくった木の杭を打ち込み、歩道を手づくりした。午後はまきわりに精を出し、参加者は林業会社職員の指導を受け、チェーンソーを使い、まきに仕上げていった。

 参加者にはIターンしてきた人が目立つ。同町の鈴木義久さん(66)は7年前に岐阜から和歌山へ。「やはりまきがありがたいです。立木の切り方などプロが見せてくれ、普段はできない経験ができるのもいいですね」とにっこり。同町の日野護さん(60)も大阪からのIターン者。「移住者同士の交流と情報交換ができる。いい人が多いですよ」と喜ぶ。

 かつらぎ町から来た辰巳佳行さん(68)は紀美野町のイベント、志賀野フェスタで、まきわりクラブを知った。初参加ながら、遊歩道づくりではアドバイス。「田舎育ちなので、こういうことは身についています。自分たちも音楽でまちおこしを進めており、地域間交流が進めばと思います」

 部長の梶本さんは、ボーイスカウトの経験を生かし、子ども対象に美里ふれあい自然塾を開いており、同町、海南市の子どもたちが多数参加する。6日は木の枝をノコギリで切り、杭づくりを手伝った。母親の一人は「近くに自然があっても実際は親しむ機会は多くないです。いいきっかけになります」と話す。

 今後も燻炭(くんたん)づくりやキノコ栽培と山を生かした取り組みを考えており、梶本さんは「木くずを堆肥として再利用を図るなどやりたいことは多い」と力が入る。活動を支える同町まちづくり課の西岡靖倫課長は「特殊伐採の実演はじめ本格的な山仕事を見学できる時もあります。自然を楽しみ、我々はその中で生かされていることを感じてもらえれば。紀美野の魅力にふれてほしいですね」と望んでいる。

 今後の予定、参加についての詳細は同町まちづくり課(073・495・3462)。

写真上=まきわりの体験で自然にふれられる 同下=遊歩道整備に汗を流す参加者たち

(ニュース和歌山2016年1月9日号掲載)