暖冬の影響が植物に出ている。和歌山市の地蔵の辻交差点近く、国道24号沿いに並ぶ桜。ソメイヨシノやサトザクラなど約100本ある中で、1本だけ2月中旬~下旬に花を咲かせるカンヒザクラの雑種が今年はすでに開花している。
10日時点で、下の方にある枝はまだまばらに咲いている程度だが、上部はかなりの花の数。1976年にこれらのサクラを植樹し、管理する県工場環境緑化協会は「こちらに花が咲いているとの情報が入ったのは年明け早々。ひょっとすると年末に咲いていたのかもしれませんね」。
岩出市根来のげんきの森では9日時点ですでに梅が開花。例年、4月上旬、早くて3月中旬に咲くコバノミツバツツジやヤマウグイスカグラも花を付けている。逆にヤブムラサキはじめ、緑の葉を付けたままの落葉樹も多い。
げんきの森倶楽部の岡田和久事務局長は「冬が来たことに気づかずに落葉できない樹木と、すでに春が来たと勘違いして花を咲かせた樹木が同居しているようです。私たちはただ『暖冬かな』って感じる程度ですが、気温の変化を頼りに生きている植物の中には、右往左往しているものがあるように感じます」。
環境保全型農業に取り組むにこにこのうえん(和歌山市府中)の吉川誠人さんによると、大根やカブにも影響が現れている。この2つの野菜は共にアブラナ科で、一定期間低温になった後に暖かくなると花芽を作り始め、食用になる根の皮が硬くなり、食べると口に残る繊維ができる。今年は花芽が出て、繊維ができるまでが早く、収穫に適した期間が短くなっている。
一方、ブロッコリーには良い影響が。「例年暖かくなる3月ごろに、一気に収穫してしまわないと花が咲いて商品価値がなくなるのですが、暖冬で緩やかに成長を続けており、収穫期間が長くなっている感じです」と話している。
写真上=地蔵の辻交差点近くでは桜が開花 同下=本来は春に咲くヤマウグイスカグラが開花
(ニュース和歌山2016年1月16日号掲載)