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 手話で交流できる常設の場をつくろうと、県聴覚障害者協会は2015年12月、地域活動支援センター「紀州の手」を中ぶらくり丁にオープンした。県内初の聴覚障害者専用デイサービスで、福田美枝子会長は「手話で楽しくおしゃべりができ、ストレス発散や生きがいになると喜ばれています。他地域にも広げたい」と意気込んでいる。

 聴覚障害者にとって、気軽に手話で話せる場は少なく、特に高齢者は老人施設に通っても職員や利用者と会話できず、孤立することが多い。同協会は2012年から月2回、交流サロンを開く中、常設の場を求める声を受け紀州の手を開設した。

 和歌山市に住む18歳以上の聴覚障害者と重複障害者対象で、20~80代の31人が利用。午前は手芸や体操など講師を招いた教室、昼食後は自由時間を設けている。利用者の馬場恵美子さん(62)は「ここなら思い切りおしゃべりでき、情報交換の場にもなります。高齢の人にもっと来てほしい」とにっこり。

 2月からは商店主対象に手話教室を開き交流を図るほか、聴覚障害者向けの作業所を今春、近隣に立ち上げる。また、大阪や埼玉など全国に9ヵ所しかないろうあ老人ホームの建設を目指し、寄付活動を本格化させる。

 福田会長は「聞こえない人は見た目に分からず、障害を理解されにくい。地域の人に手話を広める場にもなれば」と今後を描いている。

 午前9時半~午後4時で土日祝休み。紀州の手(FAX073・488・8751、電話同488・8752)。

写真=聴覚障害者が気軽に集える「紀州の手」

(ニュース和歌山2016年1月30日号掲載)