今年もひなめぐりの季節到来です。海南市の春の風物詩となった「紀州海南ひなめぐり」と、昨年初めて開き、多くの人でにぎわった「粉河とんまか雛通り」。趣向を凝らし、年々パワーアップする2つの街のひなめぐりを紹介します。
紀州海南ひなめぐり 水槽内に石雛新登場
おひなさまを見ながらまちめぐりを楽しむ恒例の「紀州海南ひなめぐり」が2月15日(月)~3月15日(火)、海南市内各所で開かれる。6回目の今年は県立自然博物館(同市船尾)の水槽内に石雛(いしびな)が初登場。JR海南駅から藤白神社までの熊野街道沿いにも石雛と紙雛を初めて飾る。
市民有志が2011年に始めたイベント。例年同様、市の玄関口、海南駅構内に巨大ひな壇を設け、約1000体を並べる。駅前商店街の各店ではショーウインドウなど道路から見えるところに展示。漆器の街、黒江の川端通りの漆器店ほかにも飾る。
自然博物館では昨年に続いて7段飾りが、ガラス幅15㍍ある大水槽「黒潮の海」前に登場。加えて、「イセエビのかくれ家」と題した水槽内に、海南高校生らが描いた石雛を展示する。小阪晃学芸課長は「大水槽前のおひなさまは昨年も女の子連れのお母さんらに好評でした。イセエビは昼間、あまり動かず目立ちませんので、おひなさまをきっかけに注目してもらえれば」。
海南駅と、会場の1つ、藤白神社を結ぶ熊野街道沿いは石雛のほか、民家の軒下などに紙雛をつるす。昨年会場に加わった温山荘園は、太平洋戦争後まで飾られていた御殿雛をはじめ、華やかな段飾りが並び、国の重要文化財に指定されている建物内を彩る。
このほか、市内の主な公民館など展示場所は多彩。東美智実行委員長は「海南の人に地元の魅力を再発見してほしいと始めた催しが年々大きくなり、市外、県外からも多くの方が見に来てくださいます。今年も海南の宝の1つである温山荘園などでおひなさまに出合ってほしい」と願う。
詳細は市物産観光センターや駅前商店街内のひなみ館に設置するパンフレットで。同センター(073・484・2326)。なお、ボランティアスタッフを募集中。
写真=温山荘園で飾る実行委メンバー 同下=石雛
粉河とんまか雛通り だんじり幕で街彩る
「粉河とんまか雛通り」が2月22日(月)~3月31日(木)、JR粉河駅前から粉河寺までの商店街を中心に開かれる。粉河の街を盛り上げようと、地元女性らが中心となって昨年始めた催しで、雛人形を飾るスポットを増やし、今年は新たに夏の粉河祭で使われる「だんじり幕」も展示する。児玉かよ子実行委員長は「人口が減る中で祭など文化の継承の難しさを感じています。訪れた人に粉河の街や歴史に関心を持ってもらいたい」と望んでいる。
江戸時代から毎年3月3日に流し雛が行われている粉河。その伝統を生かし街の活性化につなげるため、商店街の各所に人形を飾るイベントを始めた。初めて開いた昨年は県内外から約3000人が訪れ、地元店主らが人形との思い出や街の歴史を紹介し好評だった。
商店や個人宅の60ヵ所で、明治初期に作られた趣ある人形や、華やかな7段飾りなど様々な人形が訪れた人を迎える。「春が来た」をテーマに全国から寄せられた絵手紙613通を会場に並べ、駅前の山崎邸では茶会(2月27日)や和服の試着(3月5日)、音楽イベント(6日と13日)を行う。また、粉河寺前の元旅館、三笠館では7月に開かれる粉河祭のだんじりの幕を人形と合わせて飾り、語り部が歴史を説明。3月12日(土)の「粉河とんまか雛通りブラブラ散歩」では、旅館前で踊り「粉河とんまか」の体験もある。
午前10時~午後4時。期間中の週末は関連イベントを開く。詳細はフェイスブック「粉河とんまか雛通り」で。同実行委(0736・73・2246)。
写真=女性が中心となり、人形や幕の準備を進めている
(ニュース和歌山2016年2月13日号掲載)