和歌山大学とニュース和歌山が「大学の開放、研究成果の地域貢献」を目的に1999年6月から共催してきた土曜講座が3月5日、終了した。月1回、和歌山市西高松の松下会館を会場に無料で開催。最終回は経済学部の吉村典久教授による「企業統治・経営と社会の新たな関係」で、約60人が受講した。和大地域連携・生涯学習センターの村田和子教授は「講座を機に学びの場創出やNPO活動につなげた人が多数います。大学と地域住民の接点の役割を果たせました」と自負している。
土曜講座は和大創設50周年を記念し開設した。単発講座はあったが、定期開催は初めて。市民が参加しやすいよう、会場を松下会館に設定した。
初年度は、「21世紀和歌山へのメッセージ」が年間テーマ。異なる専門分野に触れられるよう、宇宙やハイテク農業、為替レートなど幅広い題材を用意した。当時の講師は、20~30代の若手研究者。「専門内容を市民に分かりやすく伝える講義」を意識することで、研究者の実力向上も視野に入れた。
その後、年ごとに「交通」「環境」「防災」「紀伊万葉」などテーマを設定し、外部講師を招くことも。これまで全202回、聴講者は延べ1万9000人に及んだ。
15年ほど前から聴講を続ける池田信義さん(60)は「実践に基づく話は特に心に残ります。講座を通じ、大学と勤務先との共同研究につながったのは思いがけないことでした」と感慨深げだった。
村田教授は「大学の地域貢献は社会的使命として定着している。今後も学びをつくり出す役割を一層向上させたい」と決意を新たにしている。
(ニュース和歌山2016年3月26日号掲載)