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 大阪との府県境の山中にある登り窯「大川窯」(岬町多奈川谷川)を活用しようと、市民有志による大川窯永久保存会が立ち上がり、5月1日(日)~5日(木)、火入れの見学会を開く。和歌山市の陶芸家、中村実さん(86)が26年前に構えた窯で、得津修司会長は「自然に囲まれた環境で陶芸に打ち込めます。興味を持つ人が集まり、皆で盛り立てていきたい」と意気込む。

 中村さんは52歳で陶芸を始め、本場備前の陶芸を極めようと60歳で、耐火レンガを3ヵ月かけて組み、幅2㍍、奥行き7・5㍍の登り窯を構えた。県展や市展への出品、展示会の開催、教室を開いて後進の育成などに取り組んできたが、近年は体力の衰えを感じ、窯を閉じようと考えていた。

 生徒の得津さんが中村さんから相談を受け、グループで窯を保存、活用しようと思い立った。自身が所属し、地域活性化に取り組む和歌山勝手連ネットワークの仲間に呼びかけて保存会を立ち上げることにした。

 好きな作品を作り、腕を磨きたい人は中村さんの指導を受けられる。陶芸を通じた交流の場にも活用できる。季節ごとに火入れして作品を完成させ、販売や会費で、薪や土の購入費をまかなう。

 中村さんは「家族が心配するくらい山にこもり、明けても暮れても制作に没頭した思い出深い場所。若い世代が引き継いでくれるのは本当にありがたい」と喜ぶ。得津会長は「かかわる人を増やし、陶芸の産地にしていきたい。周辺には戦時中に使われた弾薬庫跡もある。観光地としての活用も考えられる」と描く。

 見学会は無料。得津さん(073・471・9151)。

写真=中村さん(前列)と見学会を開く大川窯永久保存会

(ニュース和歌山2016年4月30日号掲載)