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 学生や一般求職者の地元定着、Uターンに向け、県、和歌山市、県経営者協会などが協力し各種事業を繰り広げている。古くから県内で取り組む説明会や企業ウォッチング、インターンシップに加え、近年は東京や大阪で面談会を開き、インターンシップの1日体験も始めた。都市部で求人が増える中、高校卒業後に県外へ出た人の4割ほどしか戻ってこない現状打破へ、あの手この手で取り組みが続く。

 Uターン支援策としては、1991年開始の企業合同説明会「きのくに人材Uターンフェア」が定着している。近年は学生の就職活動解禁時期をにらみながら和歌山市内で年2回実施。田辺や橋本を合わせると、県内で年10回ほど開いたこともある。加えて、面談会を10年前から大阪、2年前に東京で始め、昨秋は京都でも行った。

 背景には、地元企業の認知度の低さがある。来場者アンケートで、「情報が少ない」との回答が常に多数を占める。世界的な技術力を持つ企業もあるが、一般への浸透度は低い。県労働政策課は「関西圏にある大学で県内企業説明会を開くため、大学と就職支援協定を結ぼうと考えています」とさらに活動の場を広げる方針だ。

 企業に触れる試みでは、91年に和歌山市が始めた企業ウォッチングがある。大学3年生と短大1年生がバスで市内の企業を巡り説明を聞くもので、今年は55人が参加。ただ、1回の訪問は2社のみ、企業も限定されているのがネックだ。

 一方、99年に始まったインターンシップ制度は、1企業で1~2週間じっくりと仕事を体験でき、ミスマッチ回避に役立つとされる。初年度は20社35人だったが、2015年は95社で330人が体験した。

 長年受け入れる同市の太洋工業は、インターンシップ学生を若手社員がマンツーマンで指導する。総務部の船橋永嗣さんは「教えることで、社員が基礎を再確認でき、気づきもある」と評価する。体験を経て入社した畑祥太さんは「地元就職が希望でした。参加したことがビジョンを描くきっかけになりました」と喜ぶ。

 今年2、3月には、和歌山市が大学1、2年生を対象に1Dayインターンシップを初めて開いた。1日か半日ながら、31社にのべ101人が参加。市産業政策課は「早い時期に就職への意識づけができた。この経験を3年次のインターンシップに生かしてほしい」と望む。

 このほか、県は高校卒業者や保護者向けに説明会情報を提供し、今年は新たに奨学金の返還補助を開始。和歌山市も同様の補助制度を検討中だ。県労働政策課は「まず地元企業を知ってもらい、和歌山に定着し活躍する人を増やしたい」と意気込んでいる。

 インターンシップを5月19日まで受け付け。県経営者協会(073・431・7400)。

写真=大阪や東京でも開かれるようになったUターンフェア

(ニュース和歌山2016年5月7日号掲載)