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 高松小学校(和歌山市東高松)は休憩時間になると、校長室に子どもたちの声が響き渡ってにぎやかだ。何十人も列をつくり、西川厚子校長の前で課題文を暗唱。「バッチリ、合格」「もう一回、頑張ってこようか」との言葉に一喜一憂しながら、楽しそうに練習し順番を待っている。

 暗唱は昨年4月、赴任したばかりの西川校長が入学式で吉田松陰の「今日よりぞ、おさな心をうちすてて、人となりにし、道をふめかし」を紹介したことがきっかけ。翌日、2年生の1人が「覚えたよ」と校長室に来て、発表した。「暗唱、好き?」と聞くと、「好き」と返答。そこで手作りの賞状を渡すと、あっと言う間に広まり、次々と校長室に来るようになった。

 毎日、数十人から時には100人以上に賞状を渡すため、これまでに「1万枚は優に超えたはず」。取材した5月23日も大休憩で30人以上が訪れた。

 5月の課題は谷川俊太郎の「すき」と、室生犀星の「五月」だが、以前の課題でも構わない。ジョン・レノンのイマジンを発表した3年の中岡陽芽花(ひめか)さんと辻本菜々美さんは「英語が格好いい」。枕草子に取り組んだ3年の太田聡実さんは「言葉は難しいけど、覚えるのは簡単」とほほ笑む。このほか、ノーベル平和賞のマララ・ユスフザイさんの英語スピーチに取り組む子も。

 西川校長は「意味は、いま分からなくても良い。日本語の美しさ、心に響く言葉を身につけておくと、成長したときに理解し味わえます」と考えている。

写真=はきはきと暗唱文を発表する児童

(ニュース和歌山2016年5月28日号掲載)