新たな保育の担い手を増やそうと昨年度、国が創設した「子育て支援員」。学童保育や子育て広場などのサポートに携わる人と今後の従事を考える人が対象で、子どもにかかわり働く人材の質を保ち、支援者を増やす。昨年は県内で200人の支援員が誕生し、現在、7月から始まる2期目の研修生を募集中だ。子育てのすそ野がどう広まっていくか、今後が注目される。
支援員研修は各都道府県ごとに行われ、和歌山では県が和歌山大学に委託して実施。待機児童の解消や子育て支援の充実を打ち出す内閣府の「子ども・子育て支援新制度」の一つで、これまで公的な資格がなかった学童保育の補助員や、子どもの送り迎え、預かりを行うファミリー・サポート・センターの提供会員らが対象になる。
コースは地域によって異なり、和歌山は学童保育の補助員らが対象の「放課後児童コース」、子育て支援拠点の職員やコーディネーターに向けた「地域子育て支援コース」、一時預かり事業をサポートする「地域保育コース」の3コース5分野。共通の基本研修は8時間(2日間)、専門研修は6~24時間(2~5日間)で、大学教授らによる子どもの発達や保育の原理といった講義、コースによっては見学実習もある。
昨年の受講者は、学童保育や子育て広場のスタッフが大半だった。修了生で同市田尻の南保健センター内「ドレミひろば」の松原こずえさんは「これまでもひろばで働いていましたが、保育士などの資格はなく、自分の子育て経験のみでした。資格ができたことで、利用するママの安心にもつながるのでは」と笑顔。
県は2019年度末までに、こうした現場で働く人全員の取得を目指す。県子ども未来課は「すでに従事している人には、知識の共有や『今のやり方がベストか?』ともう一度学ぶ場にし、保育の質の向上を目指したい。また、研修を受けることで理解者を増やし、子育てに優しい社会をつくることが大切だ」と強調する。
一方で人材養成が急務な現状もある。和歌山市が52小学校で開設する学童保育「若竹学級」は5年前に比べ25学級708人増加し、現在80学級で2743人が利用。待機児童は37人おり、1年生では3人に1人が利用するほど需要が高い。
指導は1学級につき、別の資格が必要な「放課後児童支援員」1人を含む2人以上とされるが、昨年5月時点で、市に登録する放課後児童支援員は234人、補助員は73人。市青少年課は「ぎりぎりの人数で、夏休みは特に余裕のないシフトになっている。子育て支援員研修を受け、補助員に登録する人が少しでも増えれば」と期待する。
5月に県内2ヵ所で開かれた研修の事前説明会には112人が参加し、関心の高さがうかがえる。研修に携わる和大地域連携・生涯学習センターの村田和子教授は「今年度は多くの受講者が集まるとみている。すぐに様々な問題が解消されるわけではないが、資格は現場の即戦力と分かるパスポートになる。子育て支援員が必要な現場との橋渡しを自治体がどう築くのかが今後の課題だろう」と話している。
応募は和大HPからダウンロードできる所定用紙で。13日必着。各コース1000円。詳細は県子ども未来課(073・441・2492)。
写真=支援員資格を取得し働くドレミひろばの松原さん(中央)
(ニュース和歌山2016年6月4日号掲載)