県域ラジオ放送局の和歌山放送は5月30日、災害対策とAMラジオ電波が届きにくい地域への対策としてFM放送を始めた。県が海南市、御坊市、田辺市にFM電波送信所を開設。本紙配布地域ではFM94・2㍋ヘルツで聞ける。
県内初の民放ラジオ局として57年間、AM放送によるラジオ番組を届ける同社。ラジオは災害時の情報伝達手段として近年見直されつつあるが、同社の送信所は県内沿岸部や平地にあるため、津波が襲った際、使えなくなる可能性がある。このため、県が各地の山にFM送信所を整備。90㍋ヘルツ以上の周波帯を使ったワイドFM放送の免許を同社が取得した。
放送内容はAM放送と同じで、災害時は県が提供する情報を優先的に流す。AM放送より音が聞きやすく、ビル内などAM電波が届きにくかった場所でもはっきり聞けるようになった。今年度中に九度山、串本、新宮にも送信所を整備する。
30日に和歌山市湊本町の同社で開かれた式典で、中島章雄社長は「リスナーの目や耳となり、心温まる放送をAM、FMのダブルで送ります」、仁坂吉伸知事は「災害時に使える情報発信手段は多い方が良い。これまでのノウハウを生かし、いざという時に隅々まで情報を届けてほしい」と期待を込めた。
写真=ワイドFM放送開始のスイッチを押す中島社長(中央)ら
(ニュース和歌山2016年6月4日号掲載)