不登校やひきこもりなど、心に課題を抱えた若者を受け入れ、就労支援を行う弁当店「コミュニティランチ和(なごみ)」(紀の川市貴志川町長山)が10周年を迎えた。20日(土)には新たに和歌山市で「子ども食堂」を開始。店主の大江隆之さんは「これまでのテーマ『腹の底から元気を』は変わらない。子どもだけでなく、子育てに悩んでいる保護者にも来てもらい、地域や親子のつながりを深めたい」と話している。
青少年の健全育成に取り組む高野山BBS会が2006年に始めた店。配達の同行や掃除をする1期、調理補助や料理の盛り付けを手伝う2期、電話注文の受け付けや配達をする3期に分かれ、生活リズムや職場での常識を身につける。メンタルセラピストの資格を持つ大江さんが寄り添い、これまで受け入れた約200人のうち2割を就労や進学につなげた。
引きこもりから立ち直った男性は「あきらめずに自分なりに積み重ねて良かった」。大江さんは「配達先で応援や励ましの言葉をもらったと、喜んで帰ってくる子もいました。たくさんのお客さんに支えられ、青年たちは前へ進むことができています」と目を細める。
この10年で不登校やひきこもり青年への行政の支援は充実し、新たな活動を展開するため7月、ぶらくり丁にあった店を紀の川市の自宅へ移転。「立ち直りを支援する中で、本人の家族の支えが重要だと痛感した。貧困問題対策と、家庭の絆づくりを」と、子ども食堂を始めることにした。20日は、午後4時からデコレーション寿司作りを実施。3時からスポーツチャンバラやドミノの体験、学習支援も行う。
大江さんは「バランスのとれた食事をおなかいっぱい食べる喜びを知り、『おいしい』は『うれしい』『楽しい』であることに気付いてもらえれば。地域のお年寄りへの総菜販売など、若者以外の世代にも貢献したい」と描いている。
子ども食堂は毎月第1・3月曜に和歌山市布施屋の河南コミュニティセンター。子ども200円、大人300円。食材提供や準備スタッフの協力を求めている。同店(073・423・4998、午前8時半〜10時)。
写真=「元気になる弁当を」と大江さん
(ニュース和歌山2016年8月13日号掲載)