和工生 地元技術者に学ぶ

 軽油の代替燃料として注目されるバイオディーゼル燃料(BDF)。その製造実習に、和歌山市西浜の和歌山工業高校化学技術科2年10人が、地元企業の技術者から指導を受けながら取り組んでいる。

 地域産業の将来を担う人材を育成するため、県が進める「わかやま産業を支える人づくりプロジェクト事業」の一環。講師は、BDF製造を手掛ける築野食品工業(かつらぎ町)の角井洋平さんが務める。

160910_wakou 植物性油から作るBDFは軽油に比べると、黒煙の排出量が3分の1以下で、大気汚染の原因となる硫黄酸化物が発生しないのが特徴だ。実習は6月にスタート。材料となる使用済み食用油を生徒の自宅や校内の食堂から集め、その廃油にメタノールや水酸化ナトリウムを加えて反応させ、グリセリンと分ける作業などをしてきた。

 9月2日はBDF内の不純物を取り除く作業。水を加えて混ぜ合わせ、少し置くと、比重の違いから不純物がまざった水が容器の下部に集まる。これを丁寧に取り除く作業を繰り返した。真剣な表情で臨んでいた武林杏(きょう)さんは「細かな作業が多く、集中力がいりました」。将来、化学系の技術職を目指す新行章人さんは「何より家庭用の油からBDFができることが驚きでした」と話していた。

 指導した角井さんは「実習は班ごとにしてもらいました。社会人になれば協力して一つのことに取り組むことが増えますが、その大切さを分かってもらえれば」と期待していた。

 作業は9月16日(金)のろ過と成分分析で終了する予定で、できあがったBDFは、校内にある非常用自家発電機の燃料として、万が一に備えて蓄えておく。

(ニュース和歌山2016年9月10日号掲載)