紀伊風土記の丘 埴輪 重文指定で特別展
県内最大級の前方後円墳、大日山35号墳の出土品が8月、国の重要文化財に指定されたのを記念し、和歌山市岩橋の紀伊風土記の丘は特別展「岩橋千塚とその時代─紀ノ川流域の古墳文化」を10月1日(土)から開く。紀の川周辺の古墳や集落跡で発見された文化財約500点を展示。萩野谷正宏学芸員は「ユニークな顔をした埴輪(はにわ)やきらびやかなカブトと目で見て楽しいです。古墳時代の和歌山の魅力を知ってもらえれば」と力を込める。
同市東部に850基の古墳を擁する岩橋千塚古墳群。このうちの一つ、大日山35号墳で見つかった翼を広げた鳥の埴輪や両面に顔を持つ埴輪は日本唯一の形をしており、他の出土品にも独自性が見られることから、国の重要文化財に指定された。また、同古墳群の430基は国の特別史跡だが、指定されていなかった大谷山22号墳と天王塚古墳も今秋に追加される見込みだ。
これまで、同館では埴輪や岩橋千塚古墳群に特化した展示を実施。今展では、これらの指定を記念し、一帯の古墳文化から同古墳群の歴史的背景を探ろうと、紀の川流域に範囲を広げて初企画した。同市木ノ本の車駕之古址(しゃかのこし)古墳で見つかった日本初の金製まがたまや、個人が所蔵し、今まで公開されていなかった岩橋千塚古墳群の五鈴鏡、奈良県にある五條猫塚古墳の金のカブトなどが並ぶ。
萩野谷学芸員は「流域の出土品から、かつて河口が朝鮮との国交の窓口であり、和歌山平野に渡来文化が花開いたこと、上流の中央政権とも密接な関係があったことが見える。交通の要所、紀の川をキーワードに岩橋千塚の背景を読み解いて」と呼びかけている。
12月4日(日)まで。午前9時~午後4時半。月曜休館。350円、大学生210円、65歳以上と高校生以下は無料。記念講演会「岩橋千塚と紀氏系譜」が10月9日(日)、「群集墳の成立と展開」が11月20日(日)にあるほか、10月16日(日)から全5回の特別展セミナーも。同館(073・471・6123)。
(2016年9月24日号掲載)