道路延伸、市街地回帰が影響
下がり続けていた和歌山市内商業地の平均地価が、7月の県地価調査で0・1%上昇したことが分かった。前年を上回ったのは、1990年以来26年ぶり。ただし、同市の住宅地は1・2%下がり、県全体では商業地が1・7%減、住宅地が2・0%減と、依然として下落が続く。不動産鑑定士で県地価評価員の名手孝和幹事は「伏虎中学跡や和歌山市駅の再開発など行政をはじめ、コンパクトシティ化に向けた動きがあり、中心部や幹線道路沿いが上昇に転じた。一方で、その恩恵を受けられる地域は限定的」と分析する。
地価は県内270ヵ所で74年以降毎年調査。一貫して上がり続け、バブル経済まっただ中の90年に商業地、住宅地とも県平均上昇率が20%を超えた。翌年から下がり続けたが、近年は下落幅が縮小傾向。2012年までゼロだった上昇地点が、今年は23あった。
和歌山市の商業地では、中心部の十一番丁が1・6%、本町3丁目が0・7%、和歌山駅近くの美園町5丁目は1・0%、国体道路沿いの小雑賀3丁目も0・8%とそれぞれ上昇した反面、ぶらくり丁アーケード内の本町1丁目は1・8%低下と分かれた。住宅地は、中心部もしくは第二阪和国道の延伸と市道中平井線の開通で便利になった大谷や中で上昇。名手さんは「第二阪和が淡輪に、京奈和自動車道が和歌山市につながれば、来年も上昇するところはある」としながら、「商業地の代表格だったアーケード街に、再開発の影響が及ばなかった」と話す。
一方、岩出市は商業地が平均0・1%アップとなったものの、住宅地はマイナスだった。海南市、紀の川市は商業地、住宅地とも依然として下落が続いている。
(2016年9月24日号掲載)