内川はなぜ汚れているのか──。川の現状を知り、美しい川を取り戻すにはどうすれば良いかを考えてもらおうと、内川をきれいにする会が10月30日、市民ら50人と大門川、和歌川をボートで巡った。原禎一会長は「昔よりきれいと言っても、水は黒いまま。現状をどうとらえるかが課題」と話していた。
内川は、和歌山市の中心部を流れる和歌川、市堀川、大門川、真田堀川、有本川の総称。昭和30~40年代は川沿いに多数あった製材所が川を貯木場代わりに利用し、木の皮が腐ってヘドロ化していた。また、化学、染色などの工場排水が垂れ流され、人体に有害なカドミウム汚染が全国1位だったこともある。
同会は1967年に原さんの父、峯三郎さんが結成し、川の浄化を行政や市民に訴えてきた。船での視察は2年ぶりで、大門川にかかる雑賀橋から南下。和歌川の小雑賀にある堰で折り返し、1時間かけて往復した。
家族でボートに乗った村上航翼(こうすけ)さん(中1)は「間近で見ると汚かった。下水処理場から茶色い水が流れてきたのに驚きました」、母親の綾さん(38)は「食事をしながらクルーズできればいいですね。川沿いの木をライトアップするときれい」と提案。女性3人で参加した中西由佳さん(48)は「魚が飛び跳ねてました。川沿いに草木が増えると楽しめます」と期待をかけていた。
同会の野井和重副会長は「子どもたちが『この水の色じゃ、人は来ないね』と思ってくれることが大切」と強調していた。
(2016年11月5日号掲載)