山本優さんマーちゃん出版

161217_hon 島精機製作所(和歌山市坂田)の創業者、島正博社長(79)の半生をもとにした小説『マーちゃん 世界一を極めた発明王』(写真)が11月30日、新潮社から発行された。著者は『ど根性ガエル』の脚本を手がけ、多数の著作がある山本優さん。主人公の少年マーちゃんが苦難を前向きに乗り切り、自らの会社を横編み機の世界シェアトップに育て上げる姿が活気ある文章で描かれる。

 島社長は、18歳の時、ゴム入り手袋編み機で特許を取得し、青年発明家として名をはせ、24歳で会社を設立。手袋の全自動編み機に始まり、コンピューター制御横編み機、裁断、縫製を不要とし一着まるごと編み上げるホールガーメント横編み機を次々に開発、世界市場を席巻していった。

 戦死した父の代わりに8歳から家計を支え、貧しい生活ながら発明に打ち込み、一代で会社を世界的にした歩みは、型破りな逸話に満ち、〝和歌山のエジソン〟としてテレビや本、雑誌で紹介されている。

 今回は、島社長の半生をもとに山本さんが小説にした。釣り上げた魚貝でかき揚げを作って売り、家計の足しにした少年時代、妻となるカズヨとのぎこちない恋物語。10代から画期的な開発をし、会社のピンチを時に自力で、時に奇跡的に乗り越える道のりを振り返る。和歌山の歴史や風土の話も豊富で、紀州人としてのマーちゃんも強調した。

 著者の山本さんは「あとがき」の中で、「島社長の発明人生と今はなき奥様の笑いと大騒ぎの一心同体の歩みを追体験した。読者の方々にも生きる勇気をもたらすと信じている。できれば映像化したい。この原作で収録できなかったドラマを日本はもちろん世界中の人に届けたい」としている。

 四六判、480㌻。2160円。県内主要書店で販売。

(2016年12月17日号掲載)