和歌浦の春の風物詩として親しまれた潮干狩りの復活を目指し、和歌山市と和歌浦漁協が4月26日、和歌浦小学校3〜6年生約150人とアサリの生育調査を行った。掘ったのは、昨年食害防止ネットを敷いた2600平方㍍のうちの300平方㍍。和歌浦漁協の横田邦雄副組合長は「思ったよりもたくさん採れた。ネット増設などを進め、アサリの数を増やし、潮干狩りを復活させたい」と力を込める。

 近畿最大級の広さを誇る片男波干潟は、最盛期の2002年には潮干狩り期間の4〜6月に7万人が訪れた。干潟を見守ってきた瀬戸内海区水産研究所の浜口昌巳さんは「温暖化で、暑さに弱いアサリが減少した。天敵である亜熱帯性のナルトビエイや温帯性のツメタガイが増えたのも一因」と説明。08年を最後に潮干狩りは中止、にぎわいは見られなくなった。

 漁協はこれまで食害防止ネットを敷き、同小児童も稚貝を守る「なよ竹部屋」を作って保護に協力してきた。この日参加した児童らは潮干狩りをしたことがない子も多く、漁協メンバーから「5㌢ほどの深さで広く掘るのがコツ」と説明を受けた後、泥の中に手を入れて貝を探した。全員で採れたのはアサリが17㌔、ハマグリが2㌔。6年の坂本絆くんは「大きなハマグリが採れた。貴重なものだと聞いたので見つけられてうれしい」と喜んでいた。

 浜口さんは「砂の上にネットをかぶせることで、外敵からアサリを守るだけでなく、網の下に水がたまりやすく栄養がとどまる。自然の貝が採れるのは全国でも他に2ヵ所しか知らない。人の手で干潟を守っていきたい」と話していた。

 今回採れた貝は生育状況を調査し、今後の対策に生かす。なお、4月13日に採取したアサリから貝毒が見つかったため、県は加太海水浴場から和歌浦湾にかけて二枚貝を採らないよう呼びかけている。

P=アサリを掘る和歌浦小児童たち

(ニュース和歌山より。2017年5月6日更新)