海南市名高の漫画家、西岡さちさん(28)が初の単行本『ざしきわらしと僕』を4月7日、芳文社から出版した。田舎で暮らし始めた都会生まれの少年が、人や妖怪の温かさの中で優しく成長する姿を描いた作品で、「だれもが子どものころに経験したと思う、ほのぼのとした日常が舞台。過去の自分を振り返り、共感しながら楽しんでもらいたい」と話している。
小学生のころからアニメキャラクターやオリジナルの漫画を描いていた西岡さん。『らんま1/2』や『忍たま乱太郎』が好きで、和高専3年から本格的に描き始めた。卒業後は東京農工大学へ編入。その間も独学で腕を磨いた。
大学院修了を控え、進路を考えた際、「漫画を描きたい」との思いを捨てきれず、作品を複数の出版社に持ち込んだ。このうち、芳文社の月刊漫画雑誌「まんがタイムスペシャル」で『ざしきわらしと僕』の連載を2015年から続けている。
両親の離婚で1人、田舎にある祖母の家で暮らすことになった小学5年の少年が、都会との風習の違いに戸惑いながらも、祖母宅にいるざしきわらしや、周囲の子ども、大人たちになじんでいく物語。みかん狩りやもち投げの場面を取り入れたほか、登場人物のセリフに「~しちゃる」「~しよら」など和歌山らしさを散りばめている。
第1巻には、まんがタイムスペシャルで15~16年に掲載した作品を収録。「作中の風景は地元の神社や川をモデルに描いています。故郷と重なる風景を探してみて」と笑顔を見せる。
A5判、112㌻。669円。
(ニュース和歌山より。2017年5月6日更新)