海岸沿いの都市再生をテーマにした講演「瀬戸内海と地中海〜自然・歴史・文化の視点から」が6月3日(土)午後5時半、和歌山市西浜の雑賀崎小学校体育館で開かれる。同市主催で、イタリア建築史・都市史が専門の陣内秀信法政大学教授が話す。
陣内教授はイタリアの海岸沿いにある都市再生を研究し、世界遺産の都市、アマルフィ市の名誉市民でもある。雑賀崎の急な斜面に家が建ち並ぶ様子が同市と似ていると話題になっている。
漁師町の雑賀崎では今年、景観をテーマに市の主導で住民と学生がワークショップを開き、再生法を模索している。1月に地区の魅力と課題を出し合い、3月のまちめぐりで現状を確認した。
魅力には「迷路みたいな路地や入り組んだ町並みが楽しい」「昔からの風習が残る」「朝4時に出漁する船の姿が美しい」が挙がり、課題としては「空き家の増加」「坂道が多く大変」「生活が不便」が指摘された。
京都工芸繊維大学大学院で建築を学ぶ同市出身の中畑美咲さんはまちめぐりに参加した際、工業団地造成のため埋め立てられた光景を見ながら、「美しい自然と、発展のために壊した場所の両方をパノラマで見られる」と感想を話した。これに対し、地元の松川由喜子さんは「上から海を見た時、埋め立て地が見えにくいようと考えていましたので、新鮮な視点」と感心。このほか、「港で販売される魚をすぐ食べられる施設があるとうれしい」といった意見が出された。
講演会は、陣内教授が地中海や瀬戸内海のまちづくりに広く題材をとり、都市再生について話す。無料だが、市国際交流課ほかで配布する整理券が必要。同課(073・435・1010)。
写真=3月のまちめぐりで海をのぞみ、現状を確認した
(ニュース和歌山より。2017年5月24日更新)