伏虎中学校跡地に和歌山市が計画している新市民会館の小ホールに関し、文化団体の代表者ら30人が9日、市役所を訪れ、「案を見る限り、クラシック音楽専用。幅広い芸術活動に利用できるよう、再検討してほしい」と市と市議会に要望書を提出した(写真)。劇団ZEROの島田忠さんは「明らかに多目的ではない。和歌山の文化に痛手となる」と言葉を強めた。
再検討を求めるのは、演劇やオペラ、日本舞踊、バレエ、カラオケ、フラメンコなど市を拠点に活動する文化団体。市文化振興課が5月27日、「大小ホールとも多目的利用が可能」と発表した基本設計案に、島田さんが「小ホールの構造は、演劇に限らず日本の伝統芸能や軽音楽、また、反響しすぎて講演会にも利用しづらい」と危機感を抱き、各文化団体に連絡、この日の申し入れとなった。
懸念するのは、フライタワーと呼ばれる舞台上部の空間がないため、どん帳が設置されず、音響反射板や舞台両側の壁が固定され密閉空間となっていることなど。日本舞踊吉村流の吉村葵廣(きひろ)さんは「舞台袖がないため扉を開けて舞台に出なければならず、スムーズにいかない」と憤り、フラメンコ教室を主宰する森久美子さんは「ステージは奥に行くほど狭くなり、使いづらい。多くの芸術団体が使えるよう、設計士を交え、私たちと市が話し合う場が必要」と訴えた。
市文化振興課は「これまでも各種団体の意見を聞きながら進めてきました。根本的な構造変更はできませんが、内容によっては対応可能」と回答した。
文化団体側は早急に変更希望をまとめ、再度申し入れる。なお、6月市議会では、経済文教委員会で基本計画案の内容が審議される。
(ニュース和歌山/2017年6月17日更新)