林業会社を経営する上中広幸さんが開いた紀美野町三尾川の「きこりのピザ屋SOMAUD」が人気を呼んでいる。ピザを焼く際に使うのは、自ら切ったまき。「桜やナラ、柿、カシなど様々な木を使って焼き、風味づけします。桜は小麦っぽくて生地となじみが良く、ナラは甘め。こだわりのまきで焼く生地と、旬の食材のコラボを楽しんで」と目を輝かせる。
上中さんは大成高校(現・海南高校)を卒業し、土木会社で10年間勤めた。その後、電力会社の配電設備を守るために樹木を伐採する保安伐採業に携わる中、木に登り、枝を打つ楽しさに魅了され、5年前、同町に上中林業を立ち上げた。また、まき割りの楽しさを広めたいと2015年、「紀美野まきわりクラブ」を結成し、木の切り方や割り方などを教えている。
飲食業は、地元のイベントでまきストーブを改造し、ピザを焼いたのがきっかけ。出店を重ね、「お店はどこにあるんですか?」と尋ねられることが多く、ピザ屋開店を決めた。店の名は「きこり」を意味する杣人(そまうど)から付けた。
伐採木で作ったヒマラヤスギのテーブル、スギのイス、暖炉裏の壁はナラの丸太を輪切りにし敷き詰め、木の香りに包まれる店内。マルゲリータやマリナーラのほか、店の前の畑で採れた旬の食材を使った季節のピザ、りんごとバニラアイスのピザといったユニークなメニューを提供する。土日のみの営業ながら、4月のオープン以降、口コミで評判が広がり、県内外からの客でにぎわう。
上中さんは「毎日変わるまきを楽しみにし、違うまきで焼いたピザも食べ比べてみたいと、何度も足を運ばれるお客さんもいます。まき割りや木登り体験で、自然を満喫できますよ」。
午前11時〜午後5時。詳細は、同店フェイスブック。
(ニュース和歌山/2017年7月29日更新)