まもなく8月。黄色い大輪の花に込められたメッセージは〝命の大切さを広めたい〟。暑さに負けず、力強く咲くひまわりから思いを届ける。
交通事故防止 京都から発信
和歌山市小松原通の和歌山県警本部前。警察相談課職員が毎日の水やりを欠かさないプランターで7月24日、6本中2本の花が開き始めた(写真)。近くのはり紙には「ひまわりの絆プロジェクト」の文字。
このプロジェクトは京都で始まった。2011年、当時4歳だった木津川市の東陽大(はると)くんが交通事故で亡くなった。翌年夏、警察官が遺族宅を訪れると、庭にひまわりが咲いていた。陽大くんは事故に遭う前、幼稚園で育てていたひまわりの種を持ち帰っており、両親と「来年は一緒に植えようね」と話していた。両親は陽大くんが生きていた証を残したいと、種をまいて育てた。
その後、このひまわりの種を警察官が受け取り、亀岡警察署前の花壇に植えた。ここからさらに種を取り、京都府内の全署に配った。ひまわりリレーは昨年、京都府を飛び出し、全国へ。11月の犯罪被害者支援週間には全国で花を結んだひまわりの写真展が開かれた。
和歌山県警本部でも昨年から育てている。警察相談課は「昨年は無事に花を咲かせることができ、ホッとしました。今後は今年取れた種をイベントで配るなどし、ご遺族の思い、交通事故根絶の願いを広めていければ」と話している。
津波被害の児童 心にとどめたい
2011年の東日本大震災で津波に襲われ、多くの児童が亡くなった宮城県石巻市の大川小学校。同小の保護者からひまわりの種が届いた岩出市東坂本の県植物公園緑花センターで、見ごろを迎えている(写真)。
犠牲になった子どもたちを心にとどめようと、遺族らが学校近くでひまわりの世話をしており、和歌山県内でもその種を譲り受けた小学校を中心に広がっている。緑花センターにはひまわり約700本が咲くが、このうち、大川小の種から育てたのは、パノラマ花壇と東入園口近くの計約200本。2㍍以上に生長し、大きな花で来園者の視線を集める。8月上旬まで楽しめる見込み。
火曜休み。同センター(0736・62・4029)。
(ニュース和歌山/2017年7月29日更新)