飲料缶サイズの模擬人工衛星を高校生が打ち上げ、技術力、創造力、プレゼンテーション力を競う「缶サット甲子園」が8月27日から3日間、千葉県で開かれ、桐蔭高校科学部2年生4人を中心とするチームが準優勝した。4年連続5回目の準優勝に、谷口翔麻缶サット班長は「優勝を信じていたのでショックですが、好きな研究に打ち込め、内容に自信も誇りもあります」とスッキリした表情を見せた。
カメラやセンサーを乗せた模擬人工衛星をロケットで打ち上げ、落下するまでのデータを取得。解析し、自分たちで定めたミッション(任務)の有効性を競う。
桐蔭は、飛行姿勢や軌道を3Dでパソコン画面に再現するソフト「缶サットプレーヤー」を開発。7月の近畿予選で活用し、1位通過した。全国大会までに、設計担当の吉村風汰さんが、センサーが風や温度の影響をより受けにくくなるよう改造。また、データ担当の中家壮司さんが解析時間を大幅短縮できるよう処理法を改良した。
全国大会には10校が参加。桐蔭は「探査機による地球から遠く離れた惑星の探査」をミッションとした。当日は、ロケットがきれいな軌道を描いて飛び、飛行の技術力や位置情報の解析による理論実証を審査員が高く評価した。一方で、ミッションが社会にどう役立つのかを指摘された。
テーマ設定に課題を残したが、田中久温(くおん)部長は「自分たちで考えた研究の正しさが認められた」と納得し、全国優勝を後輩に託した。
写真=打ち上げ前、機体を入念にチェック
(ニュース和歌山/2017年9月9日更新)