春秋の彼岸、海に沈む太陽を雑賀崎灯台から眺める「夕日を見る会」が9月23日(土)を最後に、ライブや模擬店など大がかりな形での開催を終える。豊かな自然を守るため景観の良さをアピールしようと、雑賀崎の自然を守る会が1998年3月にスタート。来春以降は灯台西側に整備される展望スペースでゆっくり夕日を楽しめる小規模な会での継続を視野に入れる。

 雑賀崎には、彼岸の中日に太陽が沈む際、キラキラと花が降るように見える「ハナフリ」の言い伝えがある。和歌山県が97年に雑賀崎沖埋め立て計画を発表した後、反対する地元住民らが雑賀崎の自然を守る会を結成し、言い伝えを元に夕日を見る会を始めた。

 埋め立て計画が2000年に消滅した後も継続。03年からは、守る会のメンバーが多く参加するトンガの鼻自然クラブが引き継ぐ。ライブや模擬店、写真コンテストを開き、毎回1000人ほどでにぎわうイベントに成長し、昨年から春は地元ウォークに変更した。

 一方、メンバーの高齢化が進み、今年3月、灯台西側に隣接する私有地の畑290平方㍍が和歌山市に寄贈されたことをきっかけに、見る会の見直しを決めた。

 市は来年3月末までに展望スペースを整備し、柵やベンチを設置。海を見渡せるよう雑木を伐採する。車いすで入れ、灯台に上らなくても眺めを楽しめる。

 大がかりな会は終了しても、見る会と地元ウォークは続ける。「展望スペースでお茶とだんごを提供したい。無理せず、自分たちの体力に見合う会に」との声も。会員の中口裕さんは「春先はスイセンが咲き、楽しめる場所。木が眺めをさえぎっていたが、展望スペース整備後は、より多くの人に来てもらえる」と期待を寄せている。

 夕日を見る会は午後2時~日没。遺跡見学、ライブ、模擬店ほか。

写真=灯台から輝く夕日を眺めよう

(ニュース和歌山/2017年9月23日更新)