表現力や想像力をつけて相手を理解するコミュニケーション能力を養ってもらおうと、舞台を中心に活躍する俳優の加納朋之さんと佐藤尚子さんが9月29日、和歌山市森小手穂の和歌山東高校で演劇ワークショップを行った。

 加納さんは劇団の文学座、佐藤さんは青年劇場に所属し、多くの舞台をふむかたわら、和歌山市民会館で10年前に開講した演劇大学の講師を務める。今回は保育福祉の授業を選択する3年生18人に、体と声を使ったワークショップを企画した。

 手裏剣を投げるポーズをして隣の人につなぐリレーでは、生徒は素早く手を動かしたり、かけ声を上げたりと想像をふくらませ、見えない手裏剣を楽しそうに回した。

 この後、近くにいる人に「あなた」と気持ちを込めて呼びかけ、受けた人が胸に手を当て「わたし」と答えるやりとりを練習した。佐藤さんが「相手にちゃんと言葉を渡し、相手がどう反応するか。俳優はそこを考え練習します」と説明すると、生徒ははにかみながらゆっくり「あなた」と声を出し、言われた生徒も照れながら返した。

 慣れないながらも取り組んだ山本凌我さんは「佐藤さんの『あなた』の言い方が気持ち良く、表現することの面白さを感じました」とにっこり。加納さんは「専門的な内容ではないが、表情、語調など、自分の言葉や行動が相手にどう伝わるかを考える機会となれば」と話していた。

写真=高校生に表現の大切さを伝える加納さん(右)

(ニュース和歌山/2017年10月11日更新)