年の瀬最終号恒例の「ニュース和歌山大賞」。スポーツ、芸術、ボランティア活動など、今年も様々な分野から9組を編集部が独自に選びました。そのまぶしい情熱と笑顔に敬意を表し、賞を贈ります。
おもちゃ治すお医者さん ボランティア賞 小林修治さん
壊れたおもちゃを無料で直すおもちゃ病院は県内に橋本市だけでしたが、7月、和歌山市小人町のあいあいセンターにも〝開院〟しました。スタートに向け、尽力したのが小林修治さんです。昨年、テレビ番組でこのボランティア活動を知りました。日本おもちゃ病院協会主催の講習会で分解や組み立て、はんだ付けの方法を学び、〝おもちゃドクター〟の認定を受けました。今は毎月第1土曜に〝診察〟しています。
創部93年 初の全日本選手権 スポーツ賞 和大野球部
近畿学生野球連盟に所属する和歌山大学硬式野球部が5月、1部リーグ初優勝を飾りました。15シーズン連続優勝の奈良学園大学を直接対決で下し、創部93年で初めてつかんだ栄冠。6月に東京の神宮球場で開かれた全日本大学野球選手権大会は、初戦で岡山商科大学を4─1と退けました。次戦で上武大学に4─11と涙を飲んだものの、初出場で全国ベスト8の好成績を残しました。
写真=神宮でのホームランに歓喜
絶妙バトンパス リレー日本一 スポーツ賞 紀の国アスリートクラブ
陸上男子100㍍で桐生祥秀選手が日本人初となる9秒台を記録した今年、和歌山の若きスプリンターたちもやってくれました。8月の「全国小学生陸上競技交流大会」男子4×100㍍リレーで、紀の国アスリートクラブが優勝。練習で磨き上げた流れるようなバトンパスを大舞台で披露し、予選、準決勝とタイムを縮め、決勝では和歌山県小学生新記録となる49秒97を出しました。
25年かけ紀伊半島撮影 芸術賞 照井壮平さん
和歌山市の写真家、照井壮平さんが初の写真集『狼煙(のろし)』を10月に出版しました。25年に渡り、野宿をしながら熊野や高野山、大峯を撮り続けた集大成です。青岸渡寺から大峯の山中を目指して走る山伏の姿、みなべ町の丸太をくりぬいた養蜂箱のゴウラ、熊野古道の一方杉、雪降る高野山など、69枚を収めました。写真の明るい部分と暗い部分を11段階のグレーで表現する技術「ゾーンシステム」を駆使し、自然の奥深い陰影を描き出しました。
写真=10月に写真集を出した照井さん
大病から2度目の復活 音楽賞 さつきさん
プロのジャズシンガーとして活動しながらも、2008年に脳出血で言語障害を負い、歌声を奪われた和歌山市のさつきさん。厳しいリハビリに打ち込み、再びステージに上がり活動していましたが、昨年、今度は白血病に侵されました。半年あまりに及ぶ苦しい抗がん剤治療を乗り越え、今年1月に退院。11月に東京、横浜、和歌山で復帰ライブを成功させました。衰えることのない歌への熱い思い、音楽賞です。
写真=「私の歌から勇気を」とさつきさん
アナウンサーはAI 科学技術賞 エフエム和歌山
人工知能(AI)の女性音声がニュースや天気予報を読み上げる自動放送を、和歌山市のコミュニティラジオ、エフエム和歌山が7月に始めました。同局の山口誠二さん(写真)が開発し、日本の放送局で初めて実現。ナナコと名付けられたAIが早朝や深夜を中心に原稿を読み、台風接近時は関連情報を提供します。その後、ナナコは音楽番組も担当。10月には男性音声の八太郎が加わりました。
自転車×電動バイク開発 ビジネス賞 鳴海禎造さん
ペダル付き電動バイク「グラフィット」を開発した和歌山市出島のグラフィット社長、鳴海禎造さんにビジネス賞を贈ります。電動の原付バイクながら、折り畳み自転車のように収納でき、電動バイク、自転車、電動アシスト自転車と使い分け可能。家庭用コンセントで充電すれば、電動で約40㌔走ります。インターネットで開発費の出資を募るクラウドファンディングで国内最高額、1億2800万円を集め、話題になりました。
人気呼ぶお茶目ちんどん スマイル賞 ポズック楽団
障害のあるメンバーを中心につくるプロのちんどん屋さん、ポズック楽団が和歌山に限らず、関西一円の催しにひっぱりだこ。行く所々で笑顔の花を咲かせました。紀の川市粉河の共同作業所ポズックへ通う7人で、三線とちんどん太鼓のリズムに合わせ、ポーズを決めたり、ずっこけたり。お茶目なステージは評判となり、今年は週末のスケジュールが埋め尽くされる人気でした。
写真=近畿一円を飛び回るポズック楽団
明治の洋風建築残そう 歴史賞 郭家住宅の会
明治初期の希少な洋風建築である和歌山市今福の郭家住宅を残そうと、同市の建築史家、西山修司さん(写真)が呼びかけ、7月に「郭家住宅の会」を立ち上げました。地区住民や同様の建物所有者、古い建物をカフェなどに活用する経営者ら60人が参加。毎月第1日曜に開放し、ライトアップや、地域の古写真展で存在をアピールしています。今後も季節にちなんだ行事を通し、公的保存を訴え続ける考えです。
(ニュース和歌山/2017年12月23日更新)