2月16日から貴志川線で宅配物輸送
和歌山電鐵と宅配大手、ヤマト運輸は定期列車で荷物を輸送する貨客混載事業を2月16日(金)に始める。宅配物を電車で運び、物流の効率化とサービス向上を図る。同電鐵の小嶋光信社長は「車両の一部を貸し切ってもらうことで新しい収入になる。三毛猫の駅長とクロネコの猫つながりで取り組みを発展させ、鉄道を人の輸送以外でも役立てます」と話している。
人口減少、モータリゼーションの進展で地方鉄道の経営は厳しく、2000年度以降、全国38路線が廃止に追いやられている。その中、存続を図る地方鉄道会社とドライバー不足が深刻化する運輸業界が提携し、人と荷物をまとめて運ぶ貨客混載が拡大。ヤマト運輸は、路面電車や路線バスなど9都道府県で取り組んでおり、同電鐵と16年から協議を重ねてきた。
実施するのは田中口─神前間で、太田宅急便センターに集まった荷物を集配コンテナに載せ、田中口から電車で運ぶ。神前で下ろし、電動自転車に接続して配達先へ届ける。神前地区は車同士の対向が困難な幅の狭い道が多く、渋滞も重なってトラックでの配達に時間がかかっていた。今回、午前7時台の電車を利用するため、在宅率の高い8時台から配達が可能になり、再配達を減らすことができる。
当面は7時台の1本で運用を始め、需要を見て、利用する便数や駅を増やす。ヤマト運輸和歌山主管支店長の赤塚愼一さんは「ネット販売が普及し運送のニーズが高まっている。電車や自転車を使うことで、免許を持たない人にも働いてもらえるようになる」と期待。両社とも「駅で荷物の受け渡しができる無人ボックスの設置も検討したい」と意欲を見せている。
写真=車両の先頭に集配コンテナを載せる
(ニュース和歌山/2018年2月10日更新)