べっぴんプロジェクト 外国人向け文化体験企画
特技を持つ主婦が集まるグループ「べっぴんプロジェクト」。和歌山市直川の松房由佳さんが昨秋立ち上げた会で、料理や手芸で地域住民の交流の機会をつくってきた。今年、外国人向けに文化体験プログラムを開始。日本の家庭料理や和小物作り体験を行うもので、2月には和歌山県の「ほんまもん体験」に登録。松房さんは「現在は留学生がメーンだが、将来的には外国人観光客が、主婦が集う料理や編み物の教室に参加するようになれば」と望む。
松房さんは4年前、経営する電機店で料理教室を開始。月2回、講師を招き、手ごねパンやケーキ、スペイン・韓国などの料理を主婦仲間と学んできた。自身も豆腐マイスターの資格を取得し、大豆から豆腐を作る方法を教える。その際、参加者から聞かれたのが「特技や資格はあるのに十分に役立てられていない」との声。地域に暮らす人がそれぞれの特技を生かせる場を設け、生きがいづくりにつなげようと昨年10月、主婦6人で「べっぴんプロジェクト」を立ち上げた。
料理教室は引き続き行いながら、ハンドメードが趣味の人が編み物や縫い物、花や革の雑貨を製作する教室を開く。口コミで広がり、当初、知人のみだったメンバーは現在、主婦だけでなく高校生〜70代が所属。計20人以上になり、中には大阪から来る人もいる。
外国人向け体験は、メンバーの一人、菅沼直子さんの得意な英語を生かせば、活動を海外に発信できると、松房さんが考案。料理に自信のある山岡晶代さんがレシピを考え、菅沼さんが翻訳した。複数のメンバーが力を合わせた企画で、豆腐、郷土料理である柿の葉寿司作りのほか、江戸時代から伝わる布の手工芸、つまみ細工や、LED行灯作りと、日本の文化にも触れてもらう。
2月9日はブラジルとパラグアイからの留学生2人に豆腐作りを指導した。馬場マテウス健市さんは「豆腐を作ったのは初めて。にがりを直接なめるととても辛く、海の塩の味がしたけど、豆腐になるとおいしかった」、松宮クリスティアン淳さんは「パラグアイでも祖母が豆腐を作っていましたが、プレスは機械。木枠で絞るのは初挑戦でした。これからは豆腐作りを手伝えます」と笑顔。
今後は、メンバー内で英語講座を開く予定。菅沼さんは「翻訳する際は主婦の言葉づかいをそのまま英語に訳すよう心がけています。レシピは、やわらかい口語で書きながらも、手順は分かりやすく簡潔に。円滑なコミュニケーションのために工夫しています」。松房さんは「生活に根ざした文化の良さを世界の人に伝えたい。私たちが日本の文化を伝えるだけでなく、外国人から文化を教わり、相互に学び合える場に」と願う。
活動は、国内外の旅行者に、県の自然やスポーツ、生活文化体験を提供する県の「ほんまもん体験」に登録。県観光振興課の毛利亨さんは「地域の女性が主体となった体験が登録されるのは珍しい。外国人に日本と和歌山の文化を体験してもらうきっかけになれば」と期待している。
詳細は「松房電機」HP。
写真=外国人留学生に豆腐作りを指導するメンバー(左)
(ニュース和歌山/2018年3月10日更新)