児嶋弘幸さん自費出版
山の写真を撮り続けて30年、和歌山市市小路の児嶋弘幸さん(64、写真)が写真集『悠久の熊野〜春・夏・秋・冬』を4月1日(日)に自費出版する。10年以上追う熊野の自然から、31枚を収録。「早朝や雨上がりに自然が見せる一瞬を切り取りました」と語る。
春から夏、秋から冬の2章構成。瀞峡で水面に弧を描く船が表紙だ。春から夏の章では、霧でかすむ山にピンクが映える地蔵岳のアケボノツツジや、石灯ろうからのぞいた三重塔と那智の滝、秋から冬の章では、雪に覆われた箸折峠の地蔵、七越峯展望台から空を流れる雲とともに収めた大斎原などを盛り込んだ。
20歳を過ぎたころ、友人とハイキングクラブを立ち上げた。週に1度、和歌山県内はじめ、近畿や中部地方の山々を訪れ、地形、気候、植物を覚えた。写真を始めた時は、ただ目の前の景色を撮るだけだったが、写真展に足を運ぶうち、自分が感じたものを表現したいと思うように。「雪の日ならこの山、雨が降っていて翌日晴れるならこの山。これらをどこから撮ればいいのかは、山歩きの経験から分かる。でも、雲の流れや太陽の光が水面に反射する様子は予測できないから面白いんです」
2月には写真と執筆を担当した『和歌山県の山』(山と渓谷社)が出版された。都道府県別に山を紹介するシリーズの1冊で、20年ぶりの全面改訂。高野山町石道、滝尻から熊野本宮大社、龍神山など53コースを、それぞれの山の全景と、山頂からの展望、登・下山口、分岐点を紹介する。
また、調査執筆を手がけた『山と高原地図〜高野山・熊野古道 伯母子岳』(昭文社)が3月中に発売される予定。50年以上毎年出る登山、ハイキング地図の定番だ。
『悠久の熊野〜春・夏・秋・冬』は1000円。4月1日(日)〜29日(日)に和歌山市古屋のティーズカフェで行う写真展「悠久の熊野」で販売。午前11時〜午後5時。月、火、第4日曜定休。『和歌山県の山』は2160円、『山と高原地図〜高野山・熊野古道 伯母子岳』は1080円で、主要書店で販売。児嶋さん(073・453・1114)。
写真=虹がかかり神秘的な表情をみせる陰陽の滝
(ニュース和歌山/2018年3月14日更新)