草下敦司さん 小説書いた豆本出版

 幼稚園や保育所で読み聞かせを行う岩出市の草下敦司さん(39)が3月、自らの短編小説をまとめた豆本の出版を始めた。新作ができ次第、不定期に発行。「ボリュームを保ちつつ、手のひらに収まるサイズ。活字離れが叫ばれる中、気軽に読んでもらえるよう豆本という形にしました」と笑顔を見せる。

 中学時代から長年、引きこもりを経験した草下さん。心の支えは読書だった。昨年、読み聞かせ活動を始め、「滑空舎」の屋号で、お気に入り古書を販売する「一箱古本市」や、自作品を出品する「文学フリマ」に参加している。

 今年1月にメールマガジンの配信を始め、週に1、2本、オリジナル小説を届ける。また、自らの作品を読んでもらおうと小冊子や文庫本を作ったことがあり、今回、職場の同僚から聞いた豆本を手作りした。「冊子は他にも作られていて、まぎれてしまいますが、豆本だと小さくても存在感があり、大切に保管してもらえると思いました」

 約40㌻の豆本は6×5㌢。約1000文字の超短編小説を複数収録する。これまで3冊発行し、『動物記』ではひらがなの形から動物を連想する「ゆゆゆ」、虫の鳴き声を翻訳しようとする「虫の声」を、『胡蝶の夢』は涙を飲みに来るチョウを追う「涙と蝶々」ほか2編を盛り込んだ。いずれもボール紙でカバーを作り、切り絵の経験を生かして表紙をデザインするなど、手間をかけている。

 400~500円、送料別。HP(https://kakkusha.shopselect.net)で販売。草下さん(nyarusame@gmail.com)。

写真上=豆本を製作する草下さん/同下=細部までこだわって作った豆本

(ニュース和歌山/2018年4月14日更新)